新しい土地に引っ越したというのに、一日中引きこもっている。仕事も放棄している。何も手につかないのだ。うつとも違う。何かこう低体温の物体みたいな、冬眠のために池底で動かなくなる錦鯉のような、そんな状態なので
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『人間と青』 94. イン・メモリアム
2022年7月12日、哀悼の意に包まれた日本。イタリアにいながら、わたしも同じ気持ちだった。今日はそれなりの移動があったけれど、心ここにあらずといった感じで、ただ時間だけが過ぎていくような一日だった。日本にいた
Read More『人間と青』93. 雑踏ナポリ
地図を見なくとも、それなりに歩けるようになったナポリ。細い道を走り抜けていく車も、信号無視が当たり前のバイクも、もう見慣れた光景。アジアのそれとはまた違う、走り抜けていくのに一瞬間のあるリズムだとか、信号
Read More『人間と青』92. 風が気持ちいい
昨日、今日と、朝から夕方にかけて風が気持ちいい。湿度が低く、涼しい空気が窓から入ってくる。となりのベッドルームに移動すると、目の前の建物が屋上で、さらに風が抜けて気持ちいい。凝り固まった身体を、時々、寝っ
Read More『人間と青』91. 真に必要な優しさ
日本人は優しいとよく言われる。確かに優しい。でもそれは、何不自由なく暮らしている人にとっての話である。日本以外の国に行くと、優しさや親切を必要としている人がそこらじゅうにいる。真に必要としている人が、目に
Read More『人間と青』90. 人間の運命ってなに?
2022年7月8日未明、ナポリの上空に衝撃が走った。強い光と大きな音で目が覚めたわたしは、寝ぼけていたこともあり、小型の飛行機かなにかが落ちたのかと思った。時間を確認すると4時20分、日本時間では11時20分となる。
Read More『人間と青』89. ゆらゆらゆら
ささの葉さらさら、のきばにゆれる、お星さまきらきら、きんぎん砂子。“たなばたさま”の歌を歌いながら眺めるベスビオ山。麓に輝く光が今日はゆらゆら揺れていて、蜃気楼の中にいるようである。まさに金銀砂子♪ 山の麓にそ
Read More『マイ・コビッド・ナインティーン』第26回「放浪者」
フランスから帰国したのは11月中旬、全国的に気温が下がってくる季節だった。日本でも再び感染者数が増え始め、実家のある県でも陽性者がちらほら確認されるようになっていた。今回は成田空港に到着する便だったので
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