地図を見なくとも
それなりに歩けるようになったナポリ

細い道を走り抜けていく車も
信号無視が当たり前のバイクも
もう見慣れた光景

アジアのそれとはまた違う
走り抜けていくのに一瞬間のあるリズムだとか
信号無視をしながら笑顔でグッドサインしてくる
よくわからない人たちだとか

道を譲り合いながら
首を傾げたくなることも多々あるけれど
なぜか嫌な気持ちにならないナポリ

もし何かあるとすれば
爆音で音楽を鳴らしながら意味深にゆっくり通り過ぎていく車だとか
猛スピードで住宅街を走る
あからさまにふざけた殺意を感じる車だとか⋯⋯

いつそういう例外に遭遇してもいいように
車もバイクも歩行者も
すべてが自己責任の世界

でもこの町で暮らす人々は
多様な雑踏にありながらとても優しい

わたしは歌を歌いながら
バイクをよけて
車をよけて
今日もこの町を散歩する

もう当分来ることのないこの世界を