2022年7月8日未明、
ナポリの上空に衝撃が走った

強い光と大きな音で目が覚めたわたしは、
寝ぼけていたこともあり、
小型の飛行機かなにかが落ちたのかと思った

時間を確認すると4時20分、
日本時間では11時20分となる

わたしの部屋は高台の最上階にあり、
薄手のカーテンをとおして空から直接、光が入ってくる

照明の消えた暗い部屋の中を、1〜2秒ごとにバンバン照らす雷の光

目を閉じても容赦なく入ってくるその光にわたしは眠れるはずもなく、
でも雷であったことにホッとしながら、
雨に覆われた窓の外にある景色を、その時が過ぎるまで眺めていた

なにか起きなければいいのだけど⋯⋯
そんなふうに考えながらまた眠りについた

しばらく経ってから、今度は朝の光が眩しくて目が覚めた

さっきとは打って変わってよく晴れた朝だった

ここ最近の汚れた空気を雨が一掃してくれたおかげで、
ベスビオ山もひさしぶりにはっきりと見えた

よかった、なにもなくて。

わたしはいつものようにコーヒーを淹れて、
いつものように携帯でニュースをチェックした

そこに流れてきたのは衝撃的な内容だった

こんなことがあっていいのか、
冷静なのか、気が動転しているのか、
自分でもよくわからない状態がしばらく続いた

あまりにソワソワするので夕方、わたしは外に出かけた

できるだけ美しいものを見て、心を落ち着かせた
でも夜、部屋に戻るとまた引き戻されてしまう

人間の運命とは一体なんなのだろう
自然はそれを、わかっていたのだろうか

もうすぐ、今日という長い一日が終わる

これを書いている今、
となりの建物から花火が上がった
ものすごい爆音で、窓から火花が散っているのが見える

狂ってる、今はきつい。
わたしは耳をふさいだ

どうか安らかに
そして一刻も早く、日本にやさしさが戻りますように