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『人間と青』181. あの海はどこ?

明け方の夢に出てきた海は、不思議な世界だった。穏やかで落ち着くけれど、生きた心地のしない妙な感覚が含まれていた。青く深く高く、それなのに波がなかった。こんなにも深く広く、大きな波が打ち寄せそうなのに。

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『人間と青』180. 引き寄せの法則

我が家の犬のことが大好きなご夫妻がいる。とりわけ旦那さんの愛が半端ない。そのせいか奥さんは、散歩中に出くわすといつも安堵している。我が家の犬に会えるかどうかで、その日のマインドが変わるのかもしれない。その

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『人間と青』179. 秋になる

本格的に秋が始まった。もう夏に戻ることはないだろう。この季節の変わり目に降る雨が過ぎたら、爽やかな秋空が広がるのだろうか。飾り格子の窓の向こうには薄暗いグレーの空。風が吹いて葉っぱが揺れていて、嫌な感じで

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『人間と青』178. ヘッセの言葉

美しいものに出会えたとき、生きててよかったと思う。美しすぎるものに出会えたときは、そこが生と死の境のように感じて、自分が今どこにいるのかわからなくなる。あまりに美しくて吸い込まれそうになるその現象を、まだ

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『人間と青』177. 何かが抜けた気がする

何かが抜けた気がする。このふた月ほどは、いつもの女性ホルモンや精神の波だけでなく、また別の、気の滞りのようなものを毎日感じていた。これがなかなか厄介だった。それが今朝、スッと抜けた気がする。女性ホルモンの

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『人間と青』176. 犬との会話

それは一方向であり双方向。でも双方向ではない。それは双方向であり一方向。だとしても、双方向ではない。「ねえ見て! 今日の錦鯉は全色揃いだよ」「今は芝の匂いを嗅ぐのに忙しいから」「ほら見て、空がきれいだよ

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『人間と青』174. ゆら錦、ゆら鯉

ゆらゆら揺れる、透き通った水の中で。ゆらゆら揺れる、美しき布を纏いながら。池や泉で生きる僕らは時折、太陽に向かって会釈する。すると水面には波の輪が描かれて、幾重にも広がりを見せる。地上で暮らす人間は、こ

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