城壁に囲まれた、石畳の道が続くベルガモ。旧市街にも新市街にも、教会の鐘の音が鳴り響く。詩人・ヴェルレーヌの“月の光”からインスパイアされて、ドビュッシーが『ベルガマスク組曲』を書いたように、この地には何か
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『人間と青』43. この地への祈り
今から約二年前、わたしはイタリアで祈るしかなかった。毎日届けられるベルガモからの映像に、これが現実なのだと思い知らされた。もうこれ以上は増えないでくれと、ただただ祈るしかなかった。どのくらいの人が犠牲にな
Read More『人間と青』42. 精神の浄化
水が持つ力というのは、どうしてこうも大きいのだろう。イタリアに降り立ち、まず向かった先はコモ湖だった。精神を浄化したい、その一心であった。目の前に広がる澄んだ水に、ゆるやかな稜線を描く山々。何かに包まれ
Read More『人間と青』41. 夜明けのイタリア
南回りで行くミラノは初めてだった。田園風景の中にぽつぽつと現れる町を上空から眺めながら、淡い光に包まれた、まだ眠りの中にいるイタリアを見ている。空港に近づくにつれて増える木々は真下にあって、入ってくるはず
Read More『人間と青』40. 一時停止からの再開
一万メートルを超える上空で、毛布にくるまりながら食べるハーゲンダッツ。窓の外に目をやると、眼下には風に乗った雲が流れていて、段々とよみがえるあの感覚。やんちゃなストーリーが見たくなって、選んだ映画は『東
Read More『人間と青』39. クレイジー東京
晴天の上空から見た東京は、クレイジーだった。もう何度も見てきたけれど、今日の東京はクレイジーだった。一つひとつの建物がはっきりと目に見えて、大都会にかかる雲はスモークのようで、ぶわーっと街がかき消されて
Read More『人間と青』38. ラストウォーク
明日は引越し。犬とは最後の散歩になる。今日でお別れなんだ、といってもまたすぐに会えると思うけど、犬と毎日過ごした日々は、かけがえのないものだった。こんな時代だから、何が起こるかわからない。わたしは犬に話し
Read More『人間と青』37. 犬の記憶
犬の記憶について考えていたら、犬はどんな目線でその道を見ているのか、どんなことを考えながら人間を見ているのか、不思議な気持ちになった。いつも犬と過ごしながら考えてはいるけれど、犬の記憶という視点でまた犬を
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