Serials

『人間と青』125. 来た道は戻らない

ジェノヴァにいることに意味を見出せず、ここはガラッと気分を変えて、チンクエテッレにでも足を延ばそうと考えたのだが、フィレンツェから来た道を、およそ100kmも戻ることになる。すごく嫌である。わたしは来た道を戻

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『人間と青』124. 低レベル

もしも、この部屋が快適でなかったら、そして、アパートメントの地区選びを間違っていたなら、わたしはこの街にいることに耐えられないだろう。ジェノヴァ、本当につまらない街である。ナポリとの共通点はある。ただ、

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『人間と青』123. 熟睡

フィレンツェのあと、最初はローマに戻る予定だったのだけど、アパートメントのオーナーの都合でむずかしくなった。数か月前から欧州は、欧米人による旅行フィーバーで、大人気のイタリアは、本当に長期で宿を取りづらい。

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『人間と青』122. その土地との相性

引っ越し生活をしていると、その土地との相性を、否が応でも感じることになる。大抵は引っ越してきたその日にわかる。その後、覆されることはあっても、それは新たな場面が見えてきただけの話で、相性の良し悪しとはちょ

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『人間と青』121. ペトリコール

午前中に雷雨があった。少なくともひと月ぶりの、あの日以来の雨である。鼻に纏わりつく、忘れかけていたこの匂い。葉や土だけではない、外で呼吸するすべての生き物の匂いがする。石畳の隙間に入り込んだ、カラカラに干

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『人間と青』120. ボーボリ探検隊の末に

妙なテンションである。なんと言うべきか、本当の気持ちとそうでない気持ちとが数分おきにやってくる。そんな感じなのである。だからわたしは今日も出かけた。第一日曜日で国立美術館が無料なので、ボーボリ庭園に探検に

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『人間と青』119. 夜の徘徊

ここ最近のわたしは、すぐどこかに出かけたくなる病におかされている。でも今日のフィレンツェは、またもや40度。iPhoneによると、空気質まで「悪」と書かれている。“やめよやめよー。お腹も痛いんだし、今日はやめよ

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『人間と青』118. 至福の時

近所のエノテカのカウンターで、まずは白ワインを。うーん、美味しい。これは一杯では終わらない。あっ、奥のカウンター席が空いた。素晴らしいタイミング!ここは入り口付近で、入ってくる風が生暑いのである。移動させ

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