わたしは泳ぐことが得意でない。だけど泳げる自分を想像するのが好きである。今日もナポリは暑いので、水の中に飛び込む自分を想像していた。小学生のころ、泳げない生徒のための補習授業が夏休みにあった。前日の夜にス
Read More投稿者: Ökumene
『人間と青』72. 未明の月
夜眠っていたら、未明にただならぬ気配を感じて目が覚めた。外が明るい。カーテンの向こうに強い光を放つ何かがいる。それが月であることは容易に想像できたけれど、満月の時期はとうに過ぎている。カーテンを開けると、
Read More『人間と青』71. 昔ながらの洗濯
ナポリで暮らすアパートメントには、洗濯機が設置されていない。二年前は周辺にコインランドリーもなく、ロックダウンで出歩くこともできなかったので、洗濯物は桶で手洗い。この地で暮らす人々を見習って、窓の外に設置
Read More『マイ・コビッド・ナインティーン』第24回「 死を記憶するということ」
スペインへの入国には、欧州域内・域外問わず「SpTH=Spain Travel Health」という健康管理のための登録フォームを提示する必要があった。フランスでの入国手続きはいつもと変わらずで、さすが自由の国フランスと思いな
Read More『人間と青』70. ナミダ
わたしの目にふとした瞬間に現れるナミダ。このナミダは、ある時間をきっかけに、今とは異なる精神世界へと連れていく。そのきっかけが悲しいことであるとは限らない。怒りであるとも限らない。それはとても楽しいひと時
Read More『人間と青』69. 夕刻の雨がもたらすひととき
雨上がり、夕暮れどきに窓を開けたら、冷たい風が流れてきて、通り雨が季節を変化させた。気温が一気に下がって、今はいつなのだろう。雨のいい香りがする。カモメが楽しそうに空を舞っている。見渡せば水色の世界が広
Read More『マイ・コビッド・ナインティーン』第23回「自然と一体になる」
京都にはひと月半ほど滞在していた。このときの滞在は後に自分のルーツを探るきっかけになった。隣県には大切な人が眠るお墓があり、そこに会いに行くことができたのも私にとっては大きかった。いろいろな意味で有意義な
Read More『人間と青』68. 死の勝利
“死の勝利”、ペストの流行をきっかけに生まれた死の哲学。かの有名な画家・ブリューゲルは、この教訓をもとに描かれたフレスコ画から影響を受けて、『死の勝利』を制作している。ニューヨークを拠点に活動する現代の画
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