ここ一年ほど、購入するか迷っているモノがある
富士フィルムのカメラである

夏にポケットがない服を着るとき以外、もう何年も手ぶらで出かける生活を送っているわたしは、
手に握って持ち歩いていたコンデジでさえ行動の邪魔に感じるようになり、
ここ数年は旅先での撮影もすべてiPhone

手の動作とほぼ一体になるiPhoneは、撮りたい瞬間を逃しにくいという利点もある
気になったら即時に切り取ることができるので、日常の一コマに興味があるわたしに向いている

しかし、やはり味気ないのである

ただ、欧州での生活はスリとの戦いでもあるので、ますます持ち歩くことが煩わしい

カメラを持たずに、何も考えずに近所を歩いているときの方がいい場面に出会える確率は高いし、
そうなると肌身離さず、毎日カメラを持ち歩かなくてはならない

それに、これはあくまでわたしの場合だが、
写真を撮ることに集中すると、視覚の記憶は伸びるけれど聴覚や嗅覚が鈍ってしまう

つまり、引っ越し生活で旅が日常となった今、
その日常を描いていきたいわたしに、それらの要素は非常にマイナスなのである

もちろん、フォトグラファーの視点で描かれる文章というのも素晴らしい
だがそれは、カメラが生の視点と一体になり、撮影の対象をずっと見続けている人、たとえば星野道夫のような人でないと意味がない、なんて考えてしまう

つまり、中途半端が一番よくない

というわけで、この逡巡の果てにカメラを購入するのかどうか
わたしにはまだ決められないけれど、書くことすらあたりまえになっていない現状では、結局はノンなのであろう

実際はそんな頑なに考えたところでどうにもならないし、
これを今、グダグダ書いている自分が一番、中途半端なのだが⋯⋯