昨日、散歩について書きながら考えていたのだが、
歩くことは動くことである

動くことは移動することであり、
それは物理的に場所を変えるだけでなく、その作用により心も動く

わたしの経験上、この移動するという行為が一番、脳に効く

わたしの過去には、身体のあらゆる不調と不眠と希死念慮とで、本当にしんどかった数年間がある

その数年間は自発的に何かを学ぶこともできなかったし、
ひと月に数回あるかないかの休みはとにかく一人になりたくて、部屋に閉じこもってばかりいた

それでも年に2回、海外にだけは出かけていた

同じ場所で過ごしていると3か月で限界がきてその先はいつも闘いで、
だから定期的に精神をフラットにする必要があった

それにわたしにとっては海外を旅することのほうが、病院に行くよりも遥かにハードルが低かった

もちろん重い腰を上げながらになるので、到着するまでの顔には覇気がない

でも結果、朝から晩まで動くことになり、
太陽を浴びて疲れきって、気絶するように眠ることができる

でもついに、その効能さえも効かなくなる時がやってきた

ある時、仕事が一段落して、ひと月半ほど旅に出て帰国したら、
東京に戻った途端に、すべてがフリーズしたのだ

そういうことはこれまでにもあったし、精神の波とはすでに何年も闘っていたけれど、
むしろ重度の時期は乗り越えて、以前に比べて落ち着いてもいたのだが、

なんというのか、戻った途端に数日も経たずに、完全に暗闇の世界へと突入したのだ

その長旅は確かな気づきをもたらしてくれて、
東京に戻ってからの挑戦が楽しみになるくらい、今後の方向性も見えていたのにである

わたしは一番大変だったあの時期にまた戻るのではないかと、急激に恐ろしくなった

発作的に部屋を解約して、売れるものはすべて売り払い、またすぐに欧州へと飛んだ

それがわたしの引っ越し生活の始まりである

その後は嘘かと思うほどに身体の不調が消えていき、書くことを始めた
精神の波は今でもあるけれど、昔のような状態には戻っていない

いくつもの重なる症状から薬を飲むことに疑念を抱き続け、
医者への不信感から病院に行くことすら拒否し続けたわたしは、

とにかく移動を繰り返していたから今がある

お金なんて二の次、
どうにかなっていないのが現実だけど、どうにでもなるのもまた現実なのだ

だからとにかく自分の足で逃げまくれ!