わたしはすっかり忘れていた
イタリア人が長いバカンスに入ることを

この地で年がら年中暮らしていない者にとって
すごく影響すること
それは、バールやレストランである

フィレンツェも残り少なくなってきたので
まだ行けていない店をリストアップしていたら
ことごとく皆、バカンスに突入⋯⋯

そりゃそうである
地元民に愛される店ほど、地元民に合わせてバカンスを取るのだから

いやいや、そう思って随分前から前を通っていたけれど
それ以前から定休日以外も閉まってたじゃん! なんて店も⋯⋯

バカンスに入る前に食材使い切らなきゃだし
最近めっちゃ暑いし、ランチは休みにしよーっと
きっと、そんな気まぐれ営業だったに違いない

そもそもわたしは
フィレンツェの予定を一週間も早めたのである
彼らがバカンスに入ると面白くないと思って⋯⋯

それなのに、
それなのにここ数日、すっかり忘れていたのである

もちろん、すべての店を後回しにしていたわけではない

しかし、わたしは苦手なのだ
予約という約束ごとをすることが

予定を決められた途端に、楽しみが楽しみでなくなるのである

だから基本は、気分がマッチする日に直接伺うスタンスをとってきた
イタリア人の夕食は遅いので、オープンと同時であれば入れる可能性が高いのである

それにしてもわたしは馬鹿である
旅行ではなく、生活ならではのうっかりである

きっとこれは、フィレンツェにまたいらっしゃいということである
この街はあなたと相性がいいし
次は、秋か冬がいいんじゃない?

そんな風に、わたしはいつも
自分の都合のいいようにばかり考えるのである