夕暮れ時に、どこからともなく聞こえてくる大きな声。窓の外を覗くと、スイカを積んだトラックがやってきた。ナポリに戻ってきてからずっと、なぜかずっと、宇多田ヒカルの『真夏の通り雨』を口ずさんでいたのだけど、そ
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『人間と青』66. 教会の鐘の音
アパートメントの近くに位置する教会の鐘の音が、以前とはまったく変わってしまった。月曜日から土曜日まで、決まって正午に奏でられていたメロディーは、今は週に二度、たったのツーフレーズ。それ以外の日はカンカンカ
Read More『マイ・コビッド・ナインティーン』第22回「心の休養」
日本に到着した私を待っていたのは、とても静かな関西国際空港だった。到着ロビーから通路を歩いていくと椅子が並べられていて、そこで職員の指示を受けながら、まずはいくつかの書類に健康状態や隔離先の住所、機内
Read More『人間と青』65. 花火が誘う満月
ナポリに到着してから、毎日、一日も欠かさず花火の音が鳴っている。今日はなぜか昼間にも鳴っていた。鑑賞用の花火は十四世紀のフィレンツェが始まりとされているし、ここナポリの新年を祝う花火も有名なのだが、今回は
Read More『人間と青』64. ナポリ、夏
南ヨーロッパは夏がやってくるのが早い。イタリアも全体的にそうだが、ここナポリはすっかり夏である。今日は日曜日ということもあり、ナポリ湾は日焼けに勤しむ人で一杯。海で泳ぐ人もいれば、テトラポッドに寝そべる人
Read More『人間と青』63. いつもの時間
洗濯物が頭上をはためく昔ながらの路地裏を、アコーディオン弾きが歩いていく。週末になると見られるいつもの光景。ロックダウン中はその音も無くなってしまったけれど、見覚えのあるおじさんが、今、演奏しながら、我が
Read More『人間と青』62. 觔斗雲
巨大な雲が、ベスビオ山の上空を通過している。觔斗雲のような、どこか謎めいた乗り物のような不思議な雲。時間は夜の8時を回ったところ。夕焼けに照らされて、雲の内側から光を放っているようである。まさに仙人が隠れて
Read More『人間と青』61. 早朝の空を舞う鳥
朝降っていた雨が止み、まだ曇が多い中、飛び回る鳥たち。燕のように、チュンチュンと、いつも早朝にやってくる。尻尾がふたつに分かれた鳥たちは、パタパタッと素早く羽を動かし、旋回し、あっという間に方向を変えて
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