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『人間と青』67. スイカ売り

夕暮れ時に、どこからともなく聞こえてくる大きな声。窓の外を覗くと、スイカを積んだトラックがやってきた。ナポリに戻ってきてからずっと、なぜかずっと、宇多田ヒカルの『真夏の通り雨』を口ずさんでいたのだけど、そ

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『人間と青』66. 教会の鐘の音

アパートメントの近くに位置する教会の鐘の音が、以前とはまったく変わってしまった。月曜日から土曜日まで、決まって正午に奏でられていたメロディーは、今は週に二度、たったのツーフレーズ。それ以外の日はカンカンカ

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『人間と青』65. 花火が誘う満月

ナポリに到着してから、毎日、一日も欠かさず花火の音が鳴っている。今日はなぜか昼間にも鳴っていた。鑑賞用の花火は十四世紀のフィレンツェが始まりとされているし、ここナポリの新年を祝う花火も有名なのだが、今回は

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『人間と青』64. ナポリ、夏

南ヨーロッパは夏がやってくるのが早い。イタリアも全体的にそうだが、ここナポリはすっかり夏である。今日は日曜日ということもあり、ナポリ湾は日焼けに勤しむ人で一杯。海で泳ぐ人もいれば、テトラポッドに寝そべる人

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『人間と青』63. いつもの時間

洗濯物が頭上をはためく昔ながらの路地裏を、アコーディオン弾きが歩いていく。週末になると見られるいつもの光景。ロックダウン中はその音も無くなってしまったけれど、見覚えのあるおじさんが、今、演奏しながら、我が

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『人間と青』62. 觔斗雲

巨大な雲が、ベスビオ山の上空を通過している。觔斗雲のような、どこか謎めいた乗り物のような不思議な雲。時間は夜の8時を回ったところ。夕焼けに照らされて、雲の内側から光を放っているようである。まさに仙人が隠れて

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『人間と青』61. 早朝の空を舞う鳥

朝降っていた雨が止み、まだ曇が多い中、飛び回る鳥たち。燕のように、チュンチュンと、いつも早朝にやってくる。尻尾がふたつに分かれた鳥たちは、パタパタッと素早く羽を動かし、旋回し、あっという間に方向を変えて

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