今日、カラカラ浴場に向かっていたら
とある男性に声をかけられた

「やあ、今日は暑いね」
「そうだね」
「どこに行くの?」
「カラカラ浴場」

皇帝カラカラには申し訳ないが
このやり取りには
いくつものカラカラが含まれている

今日の気温は35度と本当に暑い
空気はカラカラ
喉もすぐにカラカラ

それなのにお湯の張られていないカラカラ浴場に
カラカラに干からびに行くのである

カラカラ浴場の中に入り
カラカラになりながら遺跡を眺めていたら
笑いながらこちらにやってくる男性が

しかも、人が入れない古代遺跡の中から⋯⋯

「やあ、やっぱり君と話がしたい」

わたしは一瞬、時空でも超えたのかと思った
なぜこの遺跡の中からあの男性が歩いてくるのだ?
この人は一体⋯⋯

カラカラカラカラ
なんてちょっとした空想を描いていたのだけど

カラカラ浴場では
夏になるとローマ歌劇場の野外オペラが開催される

彼はそのローマ歌劇場の関係者であり
設営の準備で来ていたのだ

なかなか純粋そうな人で
雰囲気もあってよかったのだが

カラカラカラカラ
昨日、ローマパスを購入してしまったわたし

数日は美術館巡りのほうが大切で
別日となると面倒なのである

しかし、近頃は声をかけられることも減ってきたので
素直に嬉しく楽しくもあった

なんといってもこのシチュエーション
カラカラカラカラ

少し話すだけで心に潤いを与えられたわたしは
干からびずに済みました

どうもありがとう