わたしは、いわゆる一般社会とは無縁の生活を送ってきた
20歳のときに始めたアルバイトが、
その後の人生をすべて繋げてきたからだ
それ以前に社会性のなかったわたしは、就職活動をすることすら考えられなかった
クリエイティブな仕事をしている人、またはそれを個で目指す人ばかりが周りにいて、
それぞれが自分の意見を持ち、互いに尊重し合い、とにかく自由で楽しかった
しかし、リーマンショックの翌年あたりから急激に日本の社会構造が変わっていく
さらなる景気の後退と共に世間の目は厳しくなり、自由を奪い、夜遊びする人が目に見えて減り始めた
その後の東日本大震災では、その自由を奪われたまま絆という言葉が一人歩きし、その流れのまま自分の生き方を見直す人が増えていった
わたしはそんな日本の風潮に疑問を抱くようになり、その流れとは別の意味で自分の人生はこれで大丈夫か? と自問自答するようになった
そして当時、わたしの周りに残った人物たちはなぜか皆、高学歴かつ博学で、
一般社会に属さなくとも自分の会社を持ち、社会と繋がっている人がほとんどだった
その人たちと自分の人生を比べるわけではないが、
わたしだけが世間知らずのまま生きているような気がした
わたしは社会を意識するようになった
アパレルブランドから誘いを受けたのを機にバーの仕事を辞め、
いわゆる一般社会と接点を持つようになった
そのブランドのために、結果も残せたと思う
ただ、いろいろなことが重なり精神は危うくなる一方で、ついにわたしの心は壊れてしまう
その後は、東京を離れることになるのだが、
それでも何か社会の役に立ちたいと思いながらここまでやってきた
そして今、
“もう十分、そろそろ解放してあげよう”と思うようになった
昔のような自由な時代に戻りたいのではない
個を大切にできる自立した社会で、自律した自由な精神で、わたしは生きていたい