新しい土地に引っ越したというのに
一日中引きこもっている
仕事も放棄している
何も手につかないのだ

うつとも違う
何かこう低体温の物体みたいな
冬眠のために池底で動かなくなる錦鯉のような
そんな状態なのである

せめて本が読めたなら⋯⋯

テーブルの上に置かれた四角い物体たちもまた
肩を窄めて今か今かと待ち侘びている

こんな日は昼間からワインを飲んで
サラミでもつまみながら調べ物でもしよう

今回の家はこれまでのように
燦々と陽光が降り注ぐ家ではない
ベスビオ山が見守ってくれるわけでもない

だから尚更
気分転換に外出する必要がある

しかし、明日もまた猛暑になる様子
どちらにしても危険である