脳の断片が剥がれ落ちると
急に耐えられなくなる日常の音
わたしはドアを閉め切って
誰かが叩く不快なノイズをすべて消し去る
それでもドアの隙間から入ってくるその音は
又も脳にハサミを入れて
とがった断片を形成する
わたしはすべてを洗い流すかのように
楽音をループさせる
そんなときに聴くのは決まっていつも
エリック・サティ
グノシエンヌ
日本にいると
正常な状態では浮いてしまう
唯一、京の雨とは馴染んでくれる
でも脳の断片が剥がれ落ちたときは
晴れていても釣り合いが取れる
グノシエンヌ
もう何度この曲に助けられたことだろう
フランスにいると
正常な状態でも晴れていても聴くことができるのに
でも、それは当たり前のこと
サティが生まれ、死んでいった土地なのだから