もしかすると作者が意図するものは、劣等感とはまた別の感情なのかもしれない

劣等感を向上心に変えるというよりは、それを自我として認識し、そこから新たなる自己へと変化させているような気がするからだ

これは最初に作者自身に感じたことでもあるので、結局はまたここに、作者の意図するものとして戻ってきてしまったわけだが、
その思考の流れが複雑に絡み合っていることだけは確かなようである

そう考えてそれを自分に置き換えてみると、
わたしは他者への劣等感がないかわりに、自分が理想とする自己へのハードルが高すぎて自分のレベルに合っていない

それによって自信がなくなるというよりは、そこの部分だけはきっと永遠に追いつくことも認めることもできないので、それを何かに変換して生かすにはどうすればいいのか、まだ答えが見つからない

それもある種の劣等感と言われればそれまでだが、それならば今頃はもう少し楽になれているような気がする

いや、なるほど⋯⋯
これはもしかすると、自己分析への執着なのかもしれない

まさか作者と似ている?
いや、それはない、それはさすがに相手に失礼である

そもそもこのエッセイはそういった葛藤を描いたものではないので、なぜそこにわたしが入り込んでいるのかわからないけれど、きっとこの暮らしをしていた頃の作者は、かなり真剣に自己と向き合っていたのではないだろうか