よく考えてみると、平凡に感染したのはなにもこの作者のせいだけではない

まず第一に精神が安定している
そうなるとモノゴトの見方がふつうになるので、
個人的には束の間の休息というか、なにも考えずにホッとできる時間に在るといえる

だけど、ただの平凡な時間であれば今の状態を深く追求しようと思わないので、
やはりこの作者の作品に触れたことで、
束の間の休息から平凡に感染したと言わざるを得ない

それにしても、たいしたもんである

わたし自身が人生を重ねたことで、ただの好き嫌いでモノゴトを見なくなったとも言えるが、ではそれがすべてに当てはまるかというとそうではない

むしろ深く考える価値があるから反応するのであって、これはただのスキより重視すべきことかもしれない

あくまでわたしの見解になるが、劣等感を自我から個へ、さらには存在に変えて、それを世間に浸透させているのだから、純粋に作者が描く世界が好きな人には申し訳ないが、これは物語うんぬんよりも、作者の思考が脳内でどういう動きをしているのか、そちらの才能の方に興味がある

と言いながら、なにもかもが違っていたら本人にもファンにも顔向けできないので誤解のないよう伝えておくと、わたしは作者を貶しているのではなく、どちらかというと見直しているのである

つまりこれは、作者が意図して作品に練り込んでいるのであって、
それをとりまく世界ではお馴染みの話かもしれないが、わたしにとっては何度目かの挑戦をした甲斐があったということである

それを、小説ではなくエッセイの一部を読んだだけで感じられるのだから、本当にたいしたもんである