また一段と気温が下がり、寒い朝をむかえた

階下に降りると、
犬が自分の部屋に敷かれた毛布の上でぐっすり眠っていた

草むらをかける夢でも見ているのだろうか
おだやかな表情をしたその口元が、少し笑っている

ブランケットをはいで寒そうだったので、
わたしはかけ直してあげようと手を伸ばした

しかし、犬の左手が端の部分を押さえつけて取ることができない

あきらめてその場を立ち去ろうとすると、
犬は目を覚まし、なにも言わずに寝転んだまま、そっとその手を上げた

なんて愛くるしいのだろう
まるで猫のようである

そっと布団をかけ直すと、犬はまた目をつぶった

わたしはたまらず抱きしめたくなる気持ちをおさえて、二階の部屋へと戻った