わたしの故郷のコミュニティがうまく成り立つのは
ここで生まれ育った、一人のおばちゃんの存在が大きい
彼女は父の従姉にあたる人物で
結婚してからもずっと、ずっとこの地で暮らしてきた
おしゃべりが大好きで、新しく越してきた人ともすぐに打ち解けるので
もとから暮らす人々も皆、彼女を介して受け入れることができる
旦那さんを早くに亡くしたときは、仲が良かったので心配したが
たくさんの孫に慕われ、70代半ばとなった今でも気丈に生きている
我が強く、言いたいことを言い、好きなように生きているのに
皆に笑って許される
それはきっと、彼女がフェアな人間で裏表がないからだ
同じく我が強く、それでいて人見知りだったわたしも
このおばちゃんだけは昔から大丈夫だった
だからこの夏、おばちゃんに癌が見つかり
その癌が転移して大がかりな手術を受けると聞いたとき
わたしは少し、動揺を覚えた
この人がいなくなったら、このコミュニティはどうなってしまうのか
せめてもう少し元気でいてくれないと、この場所が一気に暗くなってしまう
わたしはイタリアから帰国後、まずは故郷へと戻り
帰国前のPCR検査は陰性だったとはいえ、念のため少し様子をみて
問題ないことを確信して
今日、犬を連れておばちゃんに会いに行ってきた
思った以上に回復していて、元気そうで
おしゃべりも順調で、少々拍子抜けしたものの
以前とあまり変わらぬ姿に、ひとまず安心
この先はまだわからないけれど
とにかく元気な姿でまた会うことができて、本当によかった
おばちゃん、もう少し長生きしてね