目の前で列車が発車した
あと3秒あればと後悔してももう遅い
早足で駅まで歩き、3分も時間を縮めたというのに
ホームを逆に歩いてしまった自分を恨む

次のシエナ行きは1時間後
駅のバールでカプチーノを頼んだら
なぜかミディアムサイズのテイクアウェイ

時間はあるので指摘して
注文通りに変えてもらう

それにしても
不眠で神経が乱れてきている
そこに、女性ホルモンの影響まで重なっている

どうにかしてコントロールしないと危険だ
電気を消して
穏やかに眠れる夜が早く戻ってきてほしい

正常な判断ができなくなっていて
いや、正常に判断しても逆の行動になるのである

バールでの注文も、半分はわたしが聞き間違えた可能性があるだろう

そんな棘々したわたしの元に
小さな天使がやってきた

天使はわたしの心の中など知る由もなく
その柔らかな手をわたしの膝へと伸ばしてくる
汚れのない
純真無垢な笑みでわたしを癒す

天使はすごい

でも今は、離れたところで泣いている
人間へと変化する前に
わたしの棘を抜いてしまったのだろうか

到着したホームでも泣き声が聞こえてくるので
わたしは後を追いかけた

満面の笑みをその子に送って
天使が抜いてくれたわたしの棘を自分に戻した

その棘は、すでに柔らかくなっていた

涙でくしゃくしゃになったその顔は
何かを思い出したかのように満面の笑みに変わって
もう一度、わたしに笑いかけた