水が持つ力というのは
どうしてこうも大きいのだろう
イタリアに降り立ち
まず向かった先はコモ湖だった
精神を浄化したい
その一心であった
目の前に広がる透んだ水に
ゆるやかな稜線を描く山々
何かに包まれるかのような丸みと
ときに現れるごつごつとした側面
古代ローマの時代から
皇帝たちの保養地として親しまれてきた村々
湖上から見える景色には
いくつものヴィラが建ち並び
西も東も南も北も美しい
夕暮れ時には淡く赤く空が染まり
ただただ静かに水面だけが揺れている
身体が生き返る
心が生き返る
白鳥が話しかけてくるかのように
この湖の世界は柔らかい