ゆらゆら揺れる
透き通った水の中で
ゆらゆら揺れる
美しき布を纏いながら
池や泉で生きる僕らは時折、太陽に向かって会釈する
すると水面には波の輪が描かれて、幾重にも広がりを見せる
地上で暮らす人間は、これを動揺と呼ぶらしい
だから僕たちが静かに泳ぐ姿に癒されるんだ
ゆら錦、ゆら鯉
その輪に太陽の光が差し込むと、それを人間は希望と呼ぶらしい
そして僕らの色に気づく
日中の水の中は地上よりも暗いから
人間は僕たちがいることすら、なかなか気づかない
こんなにも水は透き通っているというのに
僕たちから錦が剥がれ落ちるかのように
ゆら錦、ゆら鯉