人といることが苦手だ
それなのにバーの仕事を10年も続けられたのはなぜだろう
わがままにやらせてもらえたこと
それはとても大きいが、
その分、我慢したこともあるので、そこは±ゼロである
本当は人が好きなのだろうか
これは苦手とはまた別の感情だから、大いにあり得る
でも最終的な結論は、
やはり、人が苦手だからであろう
人に裏切られ、人に助けられ、
人の言葉に傷つき、人の魅力に魅せられる
人間である以上、人は一生つきまとう
それがバーという小さな空間で日々、繰り返されているのだ
だから客観的に人を見られないと、
あれだけ毎日、人を相手にすることなど無理であろう
自分がどんな精神状態であろうとも、そんなことはお構いなしにお客さんはやってくる
小さな店だったので逃げ場もなく、すぐ目の前で接しなければならないのだから、
そりゃ、大変なんてものじゃない
でも相手も人知れず、何かしら事情を抱えていたりする
そんな時は、店を開けてよかったなと思う
人と悲しみや喜びを共有できることは、時に自分の助けにもなるからだ
人から学ぶことは多いし、人を見る目も養われていくので、
とても有意義な仕事なのだが、
その分、見なくてもいいものまで見えるようになる
あくまでわたしの話だが、それがなかなか厄介で、
本物とは何か、本質とは何かを必要以上に考えるようになる
人と接するのは、ほどほどがいい
それなのに、もう一度バーをやりたいと思うことが時々ある
さらにわがままにやれることが前提ではあるのだが⋯⋯