飛行機の中で見た、話題の映画『ドライブ・マイ・カー』
個人的にとても素晴らしい作品だと思う
ひさしぶりに「日本映画きた!」と気分が高揚した

正確には独自の映画で、他国の言語も加わるので日本映画としての魅力とはまた異なるけれど
手話や感覚での会話を含めて、そこに生きるものの幅を感じた

カセットテープに録音されたセリフの速度
そっと流れてくる音楽
オープニングクレジットのタイミング

そのどれもに、半歩の前後による良い間があって
人間が発する言動だけではない
その場の空気による声がそこに流れている

劇中の『ワーニャ伯父さん』の物語がまずベースにあって
ドライバーのみさき、ソーニャを演じるユナの手話、ユンスの知的な優しさ
この静かな世界から発せられる声が、一番響いてくる

人の内面に潜む見えない感情
本当か嘘かもわからない
でも、そのどれもがその場で生きている

本当に理解できるからこそ出てくる会話の内容
見たくない世界に対するその葛藤

そのどれもが真実であって
本当は知りたい、声に出して叫びたいこの感情

そのどれもが、今ここにあるひとつの世界